焙煎度や精製方法で珈琲豆を選ぶ
初めてご来店のお客様が、珈琲豆を選ぶ際によく「モカが好き」「キリマンジャロをよく飲む」と、珈琲豆の銘柄をおっしゃることがあります。
しかしながら、銘柄だけでははっきりとお客様の好みはわかりません。なぜなら、『モカ』とはかつてエチオピアとエイメン産の珈琲の総称でしたが、産地の細分化が進んだ現代、産地ごとの個性が違いすぎて、昔のいわゆる『モカ』の風味がもう失われているからです。タンザニア産珈琲の総称『キリマンジャロ』も同じです。(産地と銘柄についてはまたの機会に書いてみようとおもいます)
では、銘柄を抜きにして自分の好みを見つけるにはどうすればいいのでしょうか?
大きくわけて2つのポイントがあります。
『焙煎度』
ひとつめは『焙煎度』です。焙煎度は火を入れる程度のことで、短い時間で焼いた場合「浅煎り」、長い時間でじっくり焼いた場合「深煎り」その中間に「中煎り」「中深煎り」があります。
深煎りか、浅煎りかで、風味が大きく変わります。
浅煎り~中煎り
対して浅煎りは、酸味が強いのが特徴。大体の場合、豆によってはフルーティさがあり、スッキリとして、苦味はほぼありません。今どきのカフェのカウンターで若いバリスタさんが淹れてくれるイメージです。

『パナマ バルマウンテン』は香ばしく、すっきりと飲めます
浅煎りより少し煎った状態が中煎り。浅煎りより酸味が弱く飲みやすくなりますが、苦みもほぼありません。

昔から世界的に人気の高い『モカ・マタリ』は中煎りで。
中深煎り
珈琲を自宅で淹れることを始めたばかりの場合、中深煎りから試してみるのがおすすめです。実際、中深煎りが一番バリエーションが多く、どんな豆にでも合う焙煎方法です。酸味も苦みも苦手というお客様には、まず中深煎りをおすすめしています。

『グアテマラ ウェウェテナンゴ』の中深煎りは飲みやすいと人気です。
深煎り~極深煎り
深煎りは苦み、香ばしさ、コクが強く出て、濃厚。昔のいわゆる喫茶店でこだわりのヒゲのマスターが出してくれる、濃い珈琲のイメージですね。

『マンデリン G1』は深煎り向きの代表的な豆です
まず、自分は深煎りが好きなのか、浅煎り派なのか。それが好みを決める第1歩です。
『精製方法』
次に、風味の違いを決めるのは『精製方法』です。
珈琲は元々、果実としてコーヒーノキになっており、収穫後に果肉の部分を取り除き、乾燥させて種の部分だけにします。種の部分がいわゆる珈琲の生豆となります。この工程が精製です。
この精製の方法が違うと、同じ産地、同じ農場の同じ珈琲であっても、風味が大きく変わるので、選ぶ際に気をつけるべき重要な項目です。
精製方法には大きくわけて3つあります。
・ナチュラル(乾式)
・ウォッシュト(水洗式)
・パルプドナチュラル(ハニー)
ナチュラル(乾式)
「ナチュラル(乾式精製)」とは、果肉がついたまま、天日で乾燥させて、果肉が硬くなってから取り除く方法で、昔から行われている方法です。乾燥させる過程で果肉の風味が種(珈琲豆)に移るので、フルーティな珈琲になる傾向があります。また、乾燥の過程で果肉が発酵するので発酵香がするものもあります。『モカ・マタリ』などが代表的です。
フルーティさを活かすために、浅煎り〜中煎りくらいにすることが多いですね。

当店人気のエルサルバドル パカマラ ナチュラル精製
ウォッシュト(水洗式)
次に「ウオッシュト(水洗式精製)」ですが、こちらは果実を収穫後にすぐ果肉を取り除き水槽で薄皮などを取り除く方法です。比較的フルーティさが残らず、珈琲の香ばしさやコクを引き立てる方法と言えます。中深煎り〜深煎りにすることが多いです。

コロンビア スイートベリーは香ばしさが特徴です
パルプドナチュラル(ハニー)
「パルフドナチュラル」は、上記2つの中間です。果肉を先に取り除き、薄皮を残した状態で天日で乾燥させる方法で、微かなフルーティさが残るのが特徴です。近年、果肉除去の微調整が可能になり、果肉をどのくらい残すかでフルーティさを調整する産地もあります。香りがハチミツに近いということで、ハニー精製とも呼ばれ、コスタリカ、パナマなどで盛んです。
また、フルーティと縁は無いものの、インドネシアの「スマトラ式」もこのカテゴリーになります。
この、「深煎りか浅煎りか」「ナチュラルかウオッシュトか」を頭に、珈琲を選んでみましょう。